建設業の一人親方に労災保険は必要?事故件数から考える特別加入の重要性

建設業で一人親方として働いている方の中には、「労災保険には入ったほうがいいの?」「自分は事故を起こさないから必要ない」と考えている方もいるかもしれません。

しかし、建設現場は高所作業や重機の使用、電動工具による作業など、重大な事故につながる危険が多い仕事です。

特に一人親方の場合、原則として会社に雇用される「労働者」ではないため、通常の労災保険では補償されません。

そこで重要になるのが「労災保険の特別加入制度」です。

この記事では、建設業の労働災害の発生状況を確認しながら、一人親方が労災保険に加入する必要性について解説します。

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建設業は労働災害のリスクが高い

建設業で働く以上、まず知っておきたいのが労働災害の多さです。

厚生労働省が公表した令和7年(2025年)の労働災害発生状況によると、全国の労働災害による死亡者数は700人でした。

そのうち建設業の死亡者数は214人です。

つまり、労働災害による死亡者のおよそ3割が建設業で発生していることになります。

さらに建設業では、休業4日以上の死傷者が13,437人発生しています。

死亡者数は前年より減少しているものの、依然として建設業は重大な労働災害が発生しやすい業種であることが分かります。

特に注意しなければならないのが「墜落・転落」です。

令和7年の建設業における死亡災害214人のうち、墜落・転落による死亡者は91人でした。

建設現場では、

・屋根から転落する
・足場から転落する
・はしごや脚立から転落する
・開口部から転落する

といった事故が、死亡や重い後遺障害につながる可能性があります。

「いつもやっている作業だから大丈夫」という油断は禁物です。

一人親方にも死亡災害が発生している

労働災害は会社員だけの問題ではありません。

厚生労働省では、建設業で働く一人親方等についても死亡災害の発生状況を公表しています。

令和6年(2024年)には「一人親方等」で57人が死亡し、このうち一人親方は36人でした。

一人親方36人の死亡災害を事故の型別に見ると、最も多いのが「墜落・転落」の27人です。

つまり、一人親方の死亡災害の75%が墜落・転落によるものだったことになります。

さらに令和7年(2025年)の一人親方等の死亡災害では、「墜落・転落」が51人となっています。

屋根、足場、はしごなどを使う機会の多い建設業では、ちょっとした判断ミスや足元の不注意が重大事故につながる可能性があります。

一人親方は通常の労災保険の対象外

ここで特に注意したいのが、一人親方と一般的な会社員との違いです。

通常の労災保険は、事業主に雇用されて賃金を受け取る「労働者」を対象とした制度です。

一人親方は基本的に個人事業主であり、労働者ではありません。

そのため、仕事中にケガをしたからといって、自動的に労災保険が適用されるわけではないのです。

例えば、現場で足場から転落して骨折し、数か月間仕事ができなくなったとします。

会社員であれば労災保険による補償を受けられる可能性がありますが、労災保険に特別加入していない一人親方は、同じような補償を受けることができません。

そこで設けられているのが「労災保険の特別加入制度」です。

一人親方など、通常は労災保険の対象とならない方でも、一定の要件を満たして特別加入することで、労働者に準じた補償を受けられるようになります。

一人親方労災保険で受けられる主な補償

一人親方が労災保険に特別加入し、仕事中や通勤中の事故が労災として認められた場合、状況に応じてさまざまな保険給付の対象となります。

代表的なものとして、

・療養(補償)給付
・休業(補償)給付
・障害(補償)給付
・傷病(補償)年金
・遺族(補償)給付
・葬祭料
・介護(補償)給付

などがあります。

特に一人親方にとって重要なのが、ケガそのものだけでなく「働けない期間」への備えです。

一人親方は自分自身が働くことで売上をつくっています。

例えば、現場で骨折して2か月仕事ができなくなれば、その間の売上が大きく減少する可能性があります。

住宅ローンや家賃、生活費、車両代、工具代などの支払いは、仕事ができなくても続きます。

だからこそ「事故に遭うかどうか」だけではなく、「事故に遭った後の生活をどうするか」という視点が必要です。

「自分は大丈夫」ではなく万が一に備える

経験豊富な職人ほど、安全への意識が高く、「自分は事故を起こさない」と考えている方もいるでしょう。

もちろん、事故を防止するための安全対策が最も重要です。

しかし、建設現場の事故は自分だけが原因とは限りません。

他の作業員、重機、資材、足場、天候など、さまざまな要因によって事故が発生する可能性があります。

厚生労働省も、建設現場では労働者だけでなく、一人親方等の業務中の災害も多数発生しているとして、安全・健康確保のための取り組みを進めています。

「事故を起こさないための安全対策」と「事故が起きた場合の労災保険」。

この2つをセットで考えることが重要です。

一人親方こそ労災保険への特別加入を検討しよう

建設業は、他の業種と比較して重大な労働災害が発生しやすい仕事です。

令和7年には建設業だけで214人が労働災害により死亡し、休業4日以上の死傷者も13,437人発生しています。

また、一人親方にも実際に死亡災害が発生しています。

一人親方は、体が最大の資本です。

仕事中の事故によって長期間働けなくなれば、自分だけではなく家族の生活にも大きな影響を与える可能性があります。

「今まで事故に遭ったことがないから大丈夫」ではなく、「もし明日、現場で事故に遭ったらどうするか」を一度考えてみてください。

万が一の事故に備え、安心して建設現場で仕事を続けていくためにも、一人親方労災保険への特別加入を検討しておくことが大切です。

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